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体験者 ユミ さん(SIKI日本語教師)



夕方いったん家へ帰ってシャワーで身を清めた。
今日のクバヤは、お気に入りの赤。
今夜は月に2回あるスンバヤン(お祈り)の日だ。
SIKIのスタッフと、お供え物を積んだ車に乗り込んでやって来たのは、
ヒンズー教寺院の「タナ、キラッ」。
このお寺に、毎月新月と満月の日に、お祈りしにやって来る。
寺院に着くと、暗くなり始めた頃で、だいぶ涼しくなってきて
、風が気持ちい。既に駐車場は賑わっている。
やはり満月と新月の日は、特に夜の寺院はどっと込み合う。
このスンバヤン、昼の方がすいているので、スムーズに終わらせる事ができるが、なんせ暑いので、汗をだらだら垂らしながらのお祈りになる。
それはそれで、必死な感じがしていいのだが、私はこの、ポッカリ浮かんだ満月と、ライトアップされた寺院を見ながらのお祈りが、とても神秘的な気分になれるから大好きだ。
普段は忘れがちだが、「あーバリに住んでるんだなー。」
と改めて感じる事ができる。



昼間の寺院
椰子の葉っぱでできたお供え物「チャナン」

さて、いよいよ寺院の中へ入ってゆく、呼吸を整えて、「バリの神様」に会う心の準備を整える。お祈りするところは、全部で4箇所あり、そのそれぞれをお祈りして回る。
まずは一番奥の小さい所。
正座し、一人ひとり目の前に椰子の葉で作られたお皿の中に色とりどりの花びらが入っているお供え物「チャナン」を置き、一本ずつ線香を立てる。
僧侶の合図と共にお祈りスタート。
まずは線香の煙で掌と顔を洗うように浴びる。
そしてチャナンの中から一番白い花びらを取って、両手の指で挟み顔の前で拝むようにお祈りをする。
終わったらその花びらは耳の上や髪の毛に挟む。
そして次の二回はいろいろな色の花びらを取って同じように。


    花びらを挟んでお祈りする
祈りを捧げる人々の姿は正に真剣そのもの。
もちろん私もこの時ばかりは真剣。
バリに住んでいると、病気や事故など、心配な事もたくさんあるので、回を追うごとに、このスンバヤンも真剣になってくる。
考えてみれば、日本では、神社なんて受験の時ぐらいしか行った事が無い私が、よっぽどの理由が無い限り、毎回欠かさずこうやってお祈りに来ているのだ。
日本にいる時には考えもしなかったが、バリに住むようになって、たしかにバリの神様がいつも守ってくれているような、、、うまく説明できないんだけど。自分でもすごい変化だと思う。

ここまで終わったら、僧侶が来てくれるのをじっと待つ。
そしてまず、頭からティルタ(聖水)をかけてもらい、次に同じようにティルタを右手に頂き、三回飲む。
そして四回目は頭や顔を洗うように。
それから水に浸してある米をもらい、眉間、口の中に少し、喉、余ったら頭や体にかける。
この時使う手はいずれも右手。以前観光で来ていた私の友達が、何も知らず左手でお米を取ろうとしたところ、とっさにそれを見ていた周りのバリ人達に怒られていた。

後で聞いたところ、この額、口、喉、というのには意味があって、まず、額は、良い考えをするように、口は良い言葉を発するように。
そして喉。バリ人いわく、「もし人はここを刺されたら死んでしまう。それくらい体の中でも大切なところ、だからここにも必ず米をくっつける」んだそう。



      夜のお寺はとても神秘的



毎月バリ人のスタッフと一緒に

さあ、これで終わり、と言う訳ではなく、ここまでが一セット。
同じことを四回して回るのだ。耳の上や頭は花びらで溢れて来るし、額の米粒も、ものすごい数になる。
終わる頃には髪もカイン【巻き】スカートも大抵ビショビショだ。
そして何といってもこのスンバヤン、毎回空腹との戦いだ。それでも満員電車並みにギュウギュウの人混みに混じって自分の回を待つ。自分の回が来たら、それぞれ頭にお供え物を乗せたまま場所取りに走る!敷地内につめつめに座ってからは、チリンチリンという鈴の音とジイ様のバリ語を聴きながら、気が遠くなりそうになる。
隣にいる
SIKIスタッフの男の子もバリ語で何やら呟いている。バリ語の響きは本当に不思議だ。
日本語の響きとあまりにかけ離れている。
そしてもうひとつ、正装しているときのバリ人(男子)は本当にかっこよく見える。不思議だ。
月光を受けて光る真っ白な後姿にしばし見入る。。。また意識が遠のく。。。。。

そういえば一度この寺院でお祈り中に一度に三人ぐらいの人がトランス常態に陥ったのを見たことがあった。誰も何も言わなかったが、あの時は本当に怖かった。あれも満月の夜だったな。

やっと、すべてが終わり、帰りの車に乗り込む頃には、何とも言えないスッキリした気分になってる。やるべき仕事を一つこなした後のような。

後は学校へ戻って、持ち帰ったお供え物の果物やお菓子の争奪戦を残すのみとなる。



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